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「去年はいい年になるだろう」(山本 弘) [SF]

2011年度星雲賞受賞作。今頃読んだ(3.11のあとでは遅きに失した感が少しある)。
 タイトルが示すとおり、タイムトラベル・パラレルワールドもの。未来から来たアンドロイド大集団が、人類世界に介入し様々な悲劇惨事不幸を回避して、人々を幸福にしようと奮闘する、という大仕掛な設定だ。

去年はいい年になるだろう

去年はいい年になるだろう

  • 作者: 山本 弘
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/04/02
  • メディア: 単行本



 アンドロイドたち(ガーディアン)の人類への貢献(ロボット工学三原則に基づく)本能による、過剰とも言える「善意の介入」と、それへの人類の反応、社会経済的効果や反発テロ活動等、さらには結末近くの大転換、パラレルワールド展開の持つ「悪無限」的様相についてなど、考察の視野は広いのだが、それを一人のSF作家の立場で観察する一方で、これは極めて極私的な〈私小説〉的SFになっている。何しろ主人公が作者本人で、他にも大勢の実在人物が登場し、実際にあったこと(脚色は当然ある)が記されている。主たるテーマは家族関係、創作活動に関する悩みや迷いなどの動きだ。こういう手法があったとはねぇ。

 ガーディアンがもたらした大変化、それにからめて自身の創作活動(その時代から見たら未来の自分がいずれ書く作品)に自己言及していて、相当ややこしいことになっている(労せずに入手した未来の自分の作品を出版することの意味とか)のだが、この山本弘という作家個人の自伝的要素が散りばめられていて興味深い。「時の果てのフェブラリー」とか「ギャラクシートリッパー美葉」とか「神は沈黙せず」とか懐かしい作品名も出て来た。
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