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「ヒックとドラゴン」 [映画]

 本来なら〈お子様向け夏休みアニメ〉の一つに過ぎないだろうと観なかったはずの作品だが、例によって、Twitterでやたらと褒められていたので観ることにした(最近こればっか)。絶賛の嵐と言ってよいくらいなんだもの。
 場所は西新井TOHOシネマズ。ここは距離的には近いのだが、行くのは初めてだ。行ってみて驚いた。そのシネコンが入っているArioという施設は、菖蒲のあの(「アヴァター」を観に行った)ショッピングモールと同じじゃないか!こんなのが23区内にあったとは!つまりあそこは「郊外」なのだった。さすがは足立区と言うべきなのか?

 さて、作品であるが、なかなか良かった。Xpand3D方式というのは画面が暗くて評判が悪いのだが、確かに暗かった。それでもこのアニメは3Dの効果を存分に引き出していると思えた。特に飛翔場面において、重力や風や雲の質感、スピード感、視野角のめまぐるしい変化などの描写の迫力が半端ない。この体験は今まで見たアニメの中で最上のものだろう。これだけでも観るに値する。

 ストーリーについては、〈反ご都合主義〉原理主義者の私としては、結構引っかかる「突っ込みどころ」は沢山あったのだが、なんというか、全体の流れの中で「こまけぇことはいいんだよ」ということにしておこう。「王道的」と言うことは出来るのだが…。

 主人公ヒックに馴れるドラゴンの名が吹き替え版では「トゥース(歯)」となっているが、これは正しくは「トゥースレス(歯なし)」と正反対の意味になっちゃっている。実は歯が隠れていて一見「歯なし」に見えるが、ちゃんとあって剥き出すと見えるという設定で、どっちの表現が妥当なのか難しいところとも言える。吹き替え版で愛称的に言い易い簡潔な省略表現にするのもアリではないか?と。少なくともそれで「意味が逆になっちまうじゃないか!」と言うほどの支障はない、と。

 で、このトゥース(レス)、目が猫、なんですな。だから可愛くて親しみが持てて感情移入しやすいわけだが、私は「魔女宅」のジジを連想した。目をパチクリするところなんかで。
 最後が単純なハッピーエンドじゃない、ってところはなかなか良い、と思う。あれで少しは「反ご都合主義」が慰められたかも知れない。

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 追 記 

 昨夜、この記事をアップしてTwitterで告知したら、早速@gsusumuさん(わが映画の師、Twitter上でも五指に入る映画ウォッチャー)から反応があった。そもそも、私が上で「トゥース」問題に触れたのは、彼のつぶやきが印象に残ってたからなのだった。以下、深夜1時から2時頃にかけてのそのやりとり。

@gsusumu:私が、「ヒックとドラゴン」で、トゥースレスにこだわるのは、ヒックが、名付けたからだ。この名前をつけたことが、ヒックがどういう思いをもっているかが、表現されている。断じて、トゥース と名付けたのではない。

@asknkn:ふむむ。つまり、凶悪ではないんだという認知が現れてると?

@gsusumu :そうです。歯をもっていることを知っていて、レスをつけて名前にした。

@asknkn:なるほど。意味が変わるか…。ってか、吹き替え版では意味が失われてるかな?

@gsusumu :そうなんです。吹替え版ではそこの原作者の意図が、伝わらないいかたちになってる。冒涜です。

@asknkn:ただ、「歯」の意味の名前をつけたということ自体、あの歯の仕組みを意識させるので、「トゥース」だけでも全く無意味になったとも言えない、、かも。

@gsusumu :「歯」と名付けるのと、「歯なし」となづけて、そう呼ぶのとでは、全く違う。

@asknkn:吹き替え版の限界、というのもあるのでは?音韻論的というか、発声の都合。ま、冒涜には違いないか。
@asknkn:「トゥース」じゃなくて「はなし」にすればよかったのか。

@asknkn:この件、できたら、ブログにコメントしてもらえますか?

@gsusumu :めんどくさーい。(^^ いやです。

という訳で、なぜかブログ嫌い(もったいないからブログ書いて、と頼んでもその気にならない。なぜだっ!)のgsusumuさんに拒否され、それでも引用は許してもらえたので、こうして再現したのだが、実は彼が元々こう↓発言していたのを目にしてはいた。

http://twitter.com/gsusumu/status/21755232947
>ネタバレ。映画「ヒックとドラゴン」ヒックが助けたドラゴンにつけた名前は「トゥースレス」トゥースは歯。すなわちドラゴンにとっての武器。その武器をヒックに向けないのがのがトゥースレス。武器を持っていないということ。だから、ヒックのつけた名前は、信頼の証、願いが込められている。
http://twitter.com/gsusumu/status/21717157071
>映画「ヒックとドラゴン」3D版。再見。今回ははもう途中から、涙ながしっぱし。やっぱり、素晴らしいテーマを持った、凄い映画だ。ヒックの親友となるドラゴンの名前は絶対に「トゥースレス」でなくてはならない。テーマに大きくかかわるのだ。トゥースと変えた関係者を俺は批判したい。#eiga
 これを読めば論点ははっきりしていたのだが、映画を見てなかった私は、「トゥース」はイカン!というワンフレーズだけが印象に残っていたため、彼には説明の二重手間をかけさせることになってしまった。お詫びします。

 で、考えたのだが、日本語吹き替え版台本を書いた人も悩んだのかも、と。「トゥースレス」では長く舌を噛みそうで、テンポ良いセリフ展開が難しいと思ったのではないか?で、日本人得意の省略化に走った、と。どうせなら「トゥレス」にするか、いっそ「歯なし」にすれば良かったのかも。(歯と言うよりは「牙」の方がふさわしいとは思うが)

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堀越ヨッシー

はじめまして。
なるほど、名前に関する考察はなかなか読み応えがありました。
吹き替えファンとしては複雑な思いもありますが、名前ひとつにしてもいろんな意味があるということを踏まえながら意訳しないとダメだという事ですね。勉強になりました。
by 堀越ヨッシー (2010-08-24 11:55) 

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