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「詩羽のいる街」(山本 弘) [小説]

詩羽のいる街

詩羽のいる街

  • 作者: 山本 弘
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/09/25
  • メディア: 単行本
山本弘の最新刊。しかし、SFではなく、普通の小説。山本氏の作品としては初めてじゃなかろうか? 普通の小説とは言っても、そこはそれ山本弘、確かにSFガジェットは一切出て来ず、超常現象も起こらない、現代の地方都市を舞台にした長閑と言えば長閑な作品ではあるのだが、設定は相当に〈ヘン〉である。つまり現実には相当無理というかあり得ないような能力の持ち主の女性が主人公なのだ。そういう意味では、これは一種の超能力モノとも言えるかも知れない。

 彼女(詩羽)の能力とは、人の持つ才能や悩みを見抜き、別の人と結びつけ、その開花や解決をもたらす触媒のような類稀れな力だ。この力を発揮して、大勢の人々を助け、感謝され、その代償に食事と寝るところを提供してもらい、金銭は一切持たずに暮らしている。こういうのって、あまり今まで聞いたことがない。そういう点でとてもユニークな設定だ。山本弘のおおらかな性善説的人間観が横溢した作品と言える。
 4話からなる連作短編で、それぞれに語り手の違う1人称形式で語られる。語り手は彼女と初めて出会う、それぞれ問題を抱えた人々だ。深い洞察と持ち前の会話力と途方もない行動力、関係調整力をもってその人たちの心のひだに深く触れて優しく解きほぐしていく、その過程が心地よい。非常に読後感の良い作品だ。
タグ:山本弘
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