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「定年後に読みたい文庫100冊」(勢古 浩爾) [ノンフィクション]

勢古浩爾の「定年後」シリーズ第4弾。

文庫 定年後に読みたい文庫100冊 (草思社文庫)

文庫 定年後に読みたい文庫100冊 (草思社文庫)



このシリーズ(とまで言えるのか? ちなみに第3弾の「さらなる定年後のリアル」は未読)、以前から本の話題が多かったのだが、ついに全編本の話ばかりのブックレビュー集(しかも文庫本限定特化してのもの)となった。

 なぜ文庫に限ったのか。著者は文庫というものを非常に評価している。その理由はほぼ物理的で、入手しやすくコンパクトで持ちやすく携帯しやすい、というあっけないものである。だから岩波とかの「正統的な」文庫に限っているのでなく、最近出てきたようなのも全く無差別だ。極めて多くの本が文庫化されているのでいくらでも推薦本が選べる、というのもあるだろう。だから終章で文庫以外の本を出すのはいかがなものか?という気もする。最後にそれ?っていう…。

 で、「内容に入りたいと思います。」が、目次を引用するだけで結構な分量になるのはご容赦のほど。

なんでもかんでも、あれもこれも―ノンジャンル1・2
●丸山健二「安曇野の白い庭」(新潮)●山崎豊子「大地の子」(文春)●高島俊男「お言葉ですが…」(文春)●奥田英朗「イン・ザ・プール」(文春)●佐藤優「自壊する帝国」(新潮)●伊丹十三「ヨーロッパ退屈日記」(新潮)●宮沢章夫「牛への道」(新潮)●穂村弘「絶叫委員会」(ちくま)●斎藤兆史「努力論」(中公)●佐野洋子「ふつうがえらい」(新潮)●杉山隆男「兵士に聞け」(小学館)●前間孝則「技術者たちの敗戦」(草思社)●山田風太郎「人間臨終図巻」(徳間)●美達大和「人を殺すとはどういうことかー長期LB級刑務所・殺人犯の告白」(新潮)●後藤正治「奇跡の画家」(講談社)●大崎善生「将棋の子」(講談社)●堀田善衞「方丈記私記」(ちくま)●木村元彦「オシムの言葉」(文春)●増田俊也「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(新潮)●堂場瞬一「チーム」(実業之日本社)●久住昌之「孤独のグルメ」(扶桑社)●井村和清「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」(祥伝社)●狐「水曜日は狐の書評ー日刊ゲンダイ匿名コラム」(ちくま)●ジェフリー・アーチャー ケインとアベル」(新潮)●シャルル・ヴァグネル「簡素な生活ー一つの幸福論」(講談社学術)

この後に、ジャンル別に分けて、
「美しい人間を見たい―時代小説
」
「人間の生と死―戦記物」

「これが男の中の男だ―ミステリー小説」

 「旅と山と―地上と天上の愉楽
」
という章が続くのだが、自分にはあまり興味のない分野なので、500頁以上もある中で全部読んでる余裕が無いこともあり、パラパラと拾い読みした程度(なので、目次引用省略)。
 さらに
「古典・名作はどうでもいい」

という章があり、持論である「面白い本だけ読めばいい」「無理して読んだが理解できなかったし、全く覚えていない」と有名な古典や哲学書などをdisっている。説得力はある(ただし、論理として「お前の中ではな」であって、全面的に共感は出来ない)。しかし、そんなに読んでもちんぷんかんぷんと言う割には、これまたずいぶん哲学書(主に西洋哲学)の類を読み込んでいるわいなぁ、と不思議になった。もしかして韜晦なのではないか?全くの不明ではなく、それぞれそれなりに部分的には面白く読んだりもしているのだけれど、読み方が系統的でなく断片的で気分次第の乱読なので、頭のなかで整理できておらず、まとまった紹介文も書きにくいのでパスした、のではないか?と言う印象が強いのだ。

「さまざまな理由による番外編」
●川上未映子「わたくし率 イン 歯ー、または世界(講談社)」●朝井リョウ「桐島部活やめるってよ」(集英社)●窪美澄「ふがいない僕は空を見た」(新潮)●東野圭吾 「容疑者Xの献身」(文春)●森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」(角川)●伊坂幸太郎「重力ピエロ」(新潮)●黒田夏子「abさんご」(文春)●石田ゆうすけ「行かずに死ねるか!ー世界9万5千キロ自転車一人旅」(幻冬舎)●森茉莉「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル」(ちくま)●北原亞以子「父の戦地」(新潮)●黒川博行「疫病神(新潮)●ギリアン・フリン「ゴーン・ガール」(小学館)●マイケル・リューイン「刑事の誇り」(ハヤカワ・ミステリ)●キース・ピータースン「幻の終わり」(創元推理)
 これらは読んだけどダメだった作品群である。それぞれダメな理由が書いてあるが、それほど共感は出来なかった。中で一つだけ評価してるのがあって、「重力ピエロ」なのだが、そこでも私と著者の趣味の違いを感じた。
 大体、「子供や青年の出てくる作品は嫌い」ってなんだよ、じいさん。この辺りは全く共感できないね。

「別格の9作品」という項目の章もある。

●池波正太郎「真田太平記」(新潮)●北方謙三「三国志」(ハルキ)●大西巨人「神聖喜劇」(光文社)●高木俊朗「陸軍特別攻撃隊」(文春)●池井戸潤「空飛ぶタイヤ」(講談社)●西岡常一「木のいのち木のこころ」(新潮)●ケン・フォレット「大聖堂」(ソフトバンク)●ユン・チアン「ワイルドスワン」(講談社)●R.D.ウィングフィールド「クリスマスのフロスト」(創元推理)

これらについてはもう大絶賛である。いわば「神作品」みたいな扱いである。まぁそれはいい。(なんで最初の「ノンジャンル」に入れなかったのかよくわからないのだけれど、あそこでも「大地の子」への賞賛は凄かったのだがね。)

「文庫にしてもらいたい本」
というのが最終章にあって、別に文庫になるまで待つ必要はなく、普通にお薦めすればいいと思うのだが……。
●吉本隆明「吉本隆明が語る戦後55年」(三交社)●大西巨人「大西巨人文選」(みすず)●チャールズ・ハベル「ココダの約束―遺骨収容に生涯をかけた男」(ランダムハウス講談社)●天野篤「一途一心、命をつなぐ」(飛鳥新社)●串岡弘昭「ホイッスル・ブローアー=内部告発者―我が心に恥じるものなし」(桂書房)●山本周五郎「日本士道記」(新潮社)●光永覚道「千日回峰行 新装増補版」(春秋社)


…と、ともあれ大変な情報量の文庫本であった。総じて執筆編集方針はあまり若い人向けとは思えない(ということは本人が最初からそう言っているのだけれどね)。それにしてもSFが一冊も無いというのは徹底してるなぁ、と言うか、「惑星ソラリス?なんじゃそりゃ!聞いたこともない」などとおっしゃられていて自分とは随分違うな、と感じた。

 定年後の老人向けなら文庫の安さという長所より、字の細かさという欠点のほうが大きな問題になるのではないかな?などとも。私は図書館に同じ作品が単行本と文庫両方あった時は、迷わず単行本を借りることにしている。老眼だし、借りるのはどっちもタダだし、通勤電車に持ち込むわけでもないし……。文庫本の解説だけは別途立ち読みで読んだりしてるわけなのです。

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